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【結婚式】インスタ映え

写真会社を経営する友人がこんなこと言っていました。

「会場のプランナーさんにインスタ映えする写真を求められているんだけど、

 どうしたらいいと思う?」

この問いに対して

「だったら撮ればいいじゃん(笑)」

と言ってしまいたいところですが

実際は深刻な問題のようです。

 

友人の会社がお取引している結婚式場さんは

結婚式業界でも10位以内に入る売上がある会社様。

全国に結婚式場が何十店舗もある規模です。

 

1年間に担当する結婚式の数は

何千組というスケールを誇ります。

 

そんな大手ですから、もちろん取り決めやマニュアルが厳しいのも事実。

ひとつのミスが大問題に発展しかねない。

大手ならではのうらやましい問題です。

 

実はこれ、マニュアルに問題があります。

そのマニュアルはチェック項目が約20コ。

「この時はこれを撮れ」

「このシーンはこれとこれを撮れ」

こんな感じです。

 

具体的に言うと

「ケーキ入刀時は目線ありのものを縦と横で」

「目線がないものをアップと引きで」

こんな感じです。

 

その他には

「挙式退場時、縦と横。また、アップと引きで」

 

要は重要と言われるシーンは

*縦位置で撮影した写真

*横位置で撮影した写真

*アップの写真

*引きの写真

の4パターンを撮りなさいということです。

 

一般の方から見れば

「簡単じゃん!」

と思いがちですが

実はこれ、かなり大変なことなんです。

 

例えば

チャペルのバージンロードが数メートルしかない時と

20メートルくらいある場合では

歩く時間も違いますよね。

また、ご新郎ご新婦様によっては歩くスピードももちろん違います。

 

20メートルもあるバージンロードで

歩くスピードもゆっくりなご新郎ご新婦様だと

たくさんのバリエーションが撮影可能なんですが

10メートルにも満たないバージンロードで

歩くスピードが速いご新郎ご新婦様だと

撮れるバリエーションも枚数も少ないはずです。

 

その他には

ケーキ入刀時、目線がある写真が嫌いなご新郎ご新婦様も

当然いらっしゃいますし

目つむりがものすごく多い方だっていらっしゃいます。

 

たっぷり時間をくれるキャプテンや司会者さんもいれば

次から次へと進行するキャプテンや司会者さんもいらっしゃいます。

 

こんな状況ではあれもこれも撮りなさいは正直無理です。

 

そんな状況ですから

カメラマンはいつしか上手に撮ることやいい写真を撮ることよりも

「決められた写真を確実に撮ること」

これを優先します。

 

カメラマンだって人間です。

褒められることよりも怒られたくないを優先するので・・・。

 

これがマニュアルがもたらす現実です。

 

もちろん、マニュアルは必要だと思いますが

あまりにも雁字搦めにしてしまうと

ほんとうにいいもの

面白いものは生まれなくなる。

そんな感じだと思います。

 

で、不思議なのは

「何でこんなマニュアルが必要か?」

ということです。

 

*作業の効率化

*ミスを防ぐ

こんな感じだと思いますが

最終的にはアルバムを作りやすいデータを入手すること。

これなんです。

 

1年間に何千組も結婚式を担当するということは

何千冊というアルバムを作るということ。

もちろん、納期もあります。

 

納期までに確実にアルバムを作るとなると

テンプレートを事前に作成し

その枠に写真をはめ込む。

このやり方が一番早く、楽だと思います。

 

全てはこれのためなんです・・・。

 

致し方ないことなのかもしれませんが

何が一番ひどいかという言うと

このマニュアル、結婚式場さんは誰も把握していないこと。

 

把握してさえすれば

「この時はこういう写真が必要」

と理解できるので

「撮り終わるまで少し時間を作ろう」

「撮り終わるまで次の進行には行かないでおこう」

となります。

 

びっくりするくらい誰も知らないんです(笑)

 

知らないから冒頭の

「インスタ映え」

という要求が来るわけです。

 

結婚式の写真は約400枚~500枚を

お客様に納品します。

これは全国の平均的な枚数です。

 

どんなプロでもその400枚や500枚全てを上手く撮る。

こんなことは無理です。

 

400枚や500枚を見終わった後、

「良かった!」

と思って頂ける構成で写真を撮影します。

 

しかし、「インスタ映え」というものは

極端なことを言うと

「この結婚式で1枚でいいから最高なものを」

という真逆な考え。

 

挙式の際、1枚でいいからとびっきり素敵なものを。

それ以外は失敗していいし、いらないです。

というオーダーならほとんどのプロが

「インスタ映え」する写真を撮れると思いますよ(笑)

 

まぁ、これは極端なお話ですが

あまりにも厳しいマニュアルはよろしくないかと・・・。

 

そして

マニュアルがある場合は

結婚式場のスタッフさんも必ず目を通し

理解すること。

 

これが必要だと思います。

 

これが挙式退場時の引きのお写真。

そして、次が挙式退場時のアップのお写真。

これくらいなら簡単なんですが

更に縦の引きとアップになると

技術と言うより

「歩いているスピード」

「バージンロードの長さ」

が何よりも重要なんです・・・。

 

https://st-asone.com/